当院で行う不妊症の基本検査
当院では極力負担を軽くするため疑いのない検査は行いません。疑いのない検査は自由診療となり高額になります。しかしながら下記の時期に行う検査は最低必要と考えられ保険診療で行うことが出来ます。
① 検査期間 月経開始日より2~5日目(月経中)に採血
エストラジオールが90以上の場合はFSHやLHが本来の値より低く出る場合があります。LHは正常範囲でもFSHより低い値が正常です。LHが7以上ある方は多嚢胞性卵巣(PCO)を疑います。FSHが10以上の方は加齢による卵巣機能の低下が疑われ15以上になると閉経が近い可能性があります。月経不順があってFSHとLHは正常範囲より低い場合は視床下部性排卵障害が疑われます。しかし、この様な場合でも月経周期が規則性であれば異常ではありません。これらのホルモンは密接に関係しているため一概に判断は難しく異常値と判断した場合は説明の上、再検査や追加検査を行います。
検査費用 3割負担
約2,040~2,640円
FSH(卵胞刺激ホルモン)
正常値 4~15mIU/ml
生理開始ごろに一時的に上昇して、その生理周期に育っていく卵胞の発育を促すため、生理開始2-5日目頃に測ると、卵胞の状態が推測できます。
LH(黄体化ホルモン)
正常値 2~7mIU/ml
LHは正常範囲でもFSHより低い値が正常です。生理周期が長く、不順でLHの値が高い場合には、多嚢胞性卵巣(症候群)である可能性を疑います。
エストラジオール
正常値 20~90pg/ml
エストラジオール値を測定することによって、卵巣機能の状態がわかります。数値が基準値より低い場合は、卵巣機能が低下している可能性が推測されます。
③ 性交後試験(ヒューナー・フーナーテスト)検査時期、排卵日
排卵直前に行うのが理想です。性交渉の8~12時間後に頸管粘液を採取して精子を数えます。正常値は400倍視野の顕微鏡で10匹以上の運動精子を確認することです。 10匹以下や10匹以上いても運動性がよくないような場合は精液検査を行います。多い人は200匹くらいの運動精子がいます。この検査は精子抗体検査(奥さんがご主人の精子を殺してしまう体質)を診るものですが、精子が少なかったり、頸管粘液の性状がよくない場合も運動精子が少なくなります。
※事前に排卵日を推定してから行います。
検査費用 3割負担
約533~2,200円
④ プロゲステロン(黄体ホルモン)プロラクチン(射乳ホルモン)
プロゲステロン(黄体ホルモン)は高温相の中期に行うとおおむね15前後の値になります。6以下は黄体機能不全と診断されます。更に正常値であっても高温相が10日未満なら黄体機能不全が疑われます。クロミフェンやhCGを投与した周期は15から100位になることがありますが、高い値は問題になりません。プロラクチン(射乳ホルモン)は本来出産後に高くなるホルモンで授乳を助けるホルモンです。授乳中はすぐに次の子供を作らないように排卵を抑える作用や子宮を収縮させる作用があります。乳汁がでなくても明らかに高い値の方はプロラクチンを下げる薬を処方します。またこれが100以上ある方は脳下垂体腫瘍なども疑われます。
検査時期は、高温相 5日〜7日目
検査費用 3割負担
約1,150~2,190円
プロゲステロン
正常値 15ng/ml
プロゲステロンは排卵直後から分泌量が増える、妊娠の準備のためのホルモンとも言えます。基礎体温を上げ、受精卵が着床しやすいように子宮内膜を安定させ、乳腺を発達させる働きもあります。
プロラクチン
正常値 4~32ng/ml
プロラクチンは、下垂体から分泌されるホルモンで乳汁分泌ホルモンともいわれます。 プロラクチンは妊娠中に高くなるホルモンで、ふだんは4~32ng/mℓが基準値となります。