今回は40歳を過ぎると何故妊娠し難くなるのかを説明させてもらいます。私が不妊症を学んだのは医者になってから6年目1990年からです。30年以上間ですね、産婦人科医も6年目ともなると一通りの手術や分娩の取り扱いは出来る様になっておりましたが、不妊治療はこの間殆ど診療はしていませんでした。当時勤務ていた豊橋市民病院産婦人科部長*有井吉太郎先生にお願いして帰局先を不妊治療に特化した、名古屋ドーム近くにあった名古屋大学附属病院分院産婦人科にして頂きました。(当時は名古屋ドームは有りませんでしたが、今は分院がなくなりました。)それ以前はの殆どの一般病院では検査と言えば精液検査と卵管造影程度で月経不順の人はクロミッドを処方して基礎体温表を見て排卵してますね〜くらいの事しかやっていなかったのですが、イギリス発症の体外受精が日本でも普及しはじめ多くの不妊症の方が体外受精を希望される様になってきておりました。分院でも体外受精の出産例があり、日本初の凍結受精卵の妊娠例が妊娠中の状態で賑わっておりましたが、日本初の出産例は帝王切開で先を越されたと当時受精卵凍結のパイオニア*近藤育代先生が言っておられます。当時分院の体外受精受けるためにはまず説明会の予約を行い説明を受け名古屋大学倫理委員会の承認を得た後、体外受精の予約に入る手順で希望から実施まで1年以上掛かっておりました。産婦人科医6年目の私の衝撃は奥様の年齢が40歳を超えると女性の生殖年齢を超えていると言う理由で体外受精は行わない名古屋大学倫理委会の規定があった事です。30年前の体外受精患者さんは30歳前後の方が多かったのですが、38ー39歳くらの患者さんは今から説明を聞いても間に合わないので出来ませんと断る事しか出来なかったのです。”そんな話は初めて聞いた。誰も教えてくれなかった。閉経するまでいつでも産めると聞いていた。”そう言われる方が多く→”じゃあ何故妊娠し難いのか?”との質問を30年以上前から説明をしているのです。卵子の遺伝子が悪くなるからだよとは説明してましたが、その後も色々知ったことや新しい研究で分かった事もあります。
男性は毎日精子を作っており80歳でも子作り可能ですが、女性は生まれた時から持っている卵巣中の卵子を排卵または自然淘汰で減少を続け卵子が無くなった状態が閉経です。つまり40歳の女性は卵子も40歳になります。簡単に言えば遺伝子異常の卵子比率が増加するため妊娠し難くなります。ただコレだけでご納得頂ける患者さんは殆どおりません。また全てが解明されている訳でもありませんが、排卵直前に終了する第一減数分裂で卵子遺伝子が綺麗に二つに分かれなかった事が主な原因になります。
*有井吉太郎先生 豊橋市民病院のちに院長 気さくで優しく生前、私をシロー君と呼んでくれ可愛がってくれました。 *近藤育代先生 こんどう女性クリニック院長 1990年のある日の事、近藤先生から受精卵凍結の指導を受けている最中うっかり近藤先生の足に液体窒素(マイナス196℃)かけてしまい火傷させてしまいました。近藤先生ごめんなさい。
元々文章が下手くそで国語能力も低く読みにくい解りにくいと思われる方も多いと思いますが、またこの続き、ではどうして第一減数分裂が40歳を超えると難しくなるか次回説明するつもりです。ちょっこちょこ読み返してはこっそり直してもいます。