お待たせしておりました。今回は前回予告の早発閉経予備軍の話をさせて頂きます。日本人の平均閉経年齢は51歳で女性の平均寿命は約90歳です。信じられませんが、第二次世界大戦前人生50年と言われていた頃には、本当に日本人の寿命は50歳であり今でもアフリカなどの発展途上国では平均寿命が50歳の国も沢山あります。何と日本では約70年の間に寿命が40年も長くなりました。医療の発展(特に公的医療制度)・生活水準の改善などが考えれますが、平均閉経年齢(卵巣の寿命)はこの間1年くらいしか伸びていないそうです。大変不思議な生理現象であると思います。この理由として考えられるのが通常以上の卵子の消失です。生まれた時に100万個あった卵子が20歳で10万個 50歳で消失します。100万個の卵が5000回の排卵で無くなってしまうのは、排卵以上に卵子が自然淘汰されるからです。1回の排卵でも10−20個程度の卵子は消滅します、途中まで一緒に育ってその途中一番元気の良い卵子が生き残り、残りの卵子はその発育をサポートする様な仕組みらしいです。クロミッド排卵誘発で3個程度 hMG刺激で15程度の卵胞が育つのはサポート組が一緒に育ってくるからです。(全く話が違うのですが、私がクロミッド体外受精で1番卵胞を狙う大きな理由の一つです)おそらくは自己免疫が過剰で通常より多くの卵子が淘汰されてるのと考えられております。
医学的に40歳未満で閉経する方を早発閉経と診断します。割合として日本人女性の約100人に1人になりますが、更に30歳までに閉経する方は1000人に1人みえます。しかし25歳未満で結婚されていたちょっと前には特に問題になっていませんでした。
ここからなんですが、閉経はしていないもののかなりそれに近い患者さんは更にもっと多く、毎日不妊治療を行う我々に突って決して少ない数ではありません。私は閉経予備軍と分かりやすく言ってますが、医学用語ではPOF(早発卵巣不全)と言います。
閉経状態であればFSH(卵胞刺激ホルモン正常値4−15)は概ね50−100その時の卵胞ホルモンは概ね測定以下(正常値20−90)になります。これくらいハッキリしていれば、一般の産婦人科の先生ならお若いけど閉経してますねと診断できると思います。ただしFSHが10-15程度のやや高めの方は注意しないとあっという間に30−40に増えてしまう方が見えこの様な方がトラブルの原因になります。その様な経験から当院では約20年前から初診は月経開始3日目前後と決めさせて頂いております。
これは私の苦い経験から来ています。若くて健康そうな患者さんが数回の通院後に月経開始3日目のホルモン検査を行うととFSHが30くらいあったりして不妊治療計画の大幅な変更(若くて不妊期間の短い人は多少精子が少なかろうともタイミング5回くらいはやりましょう)がなるべく早めに体外受精で少しでも妊娠率の高い治療にしましょう。になってしまいます。これが怖くて最初は月経中のホルモン検査からに変更したのですが、例えばFSHが20−30であることが分かる。次の受診日(初診時、月経中は内診は行いません)内診すらしていない状況であなたは結構危険な状態です。と言わざる終えません。患者さんは怒りまくってドアをバタンと閉めて帰られます。その後もご主人が怒りの電話が当院に来ます。嫁がお宅に行ってから夜も寝れない状態になった、どうしてくれる!
正直、私より”その前の病院で何も指摘もされていない”と言う事を全く理解して頂けていないと思うのですが、、、そんなことを言うとまた色々大変なことになるので現状を正直にお伝えしたまでですとしか言うことはしか出来ません。更にその事はどの程度理解されたのはは分かりませんが、何度も体外受精を進めても私は人工授精にしますと言いながら長期通院されいざ体外受精となると更に状況が深刻になり何ともならない状態になっている方も少なくありません。自作のイラストや当院の年齢別体外受精の妊娠率・流産率のグラフを用意して詳しく説明しているのに高齢(私的には38歳以上)の方と早発閉経予備軍の方のクレームや悪い投稿には悲しい思いで見ています。
ただし、早発閉経の方には明るい希望が見えてきました。これもコロナ前の話でおそらく成田先生主催の+*東海ART研究会で特別講演された聖マリアンナ医科大学の先生の話だったと思いますが、閉経後2−3年の方から妊娠出産例が正解で初めて成功したと言うビックリな講演でした。勉強かの不妊治療医ならもっと前から知ってたかも知れませんが、完全に閉経された患者さんの中でも原始卵胞は存在しその発育を止めている抑制因子があって閉経になっている方が多く見える様です。
治療は大変です。まず腹腔鏡手術で片方の卵巣を全部切除します。卵巣の表面を6枚の板状に削り出し一つは原始卵胞の存在位を組織学的に検査します、残りの5枚は凍結しその後、抑制因子を緩和する培養液*(詳しくは特許の関係でご説明できません)が卵子をある程度成熟させその途中まで成熟の卵子を卵管と子宮の間にある割結構の良い場所に注入し更に成熟ささて後、体外受精の様に卵胞刺激を行い体外受精をすると言う方法です。最低でも2回の腹腔鏡と1回の体外受精を自費で行う必要があることと当時では聖マリアンナ医科大学まで行かなければ出来なかったことから相当な金額の負担が生じると思いますが、話が高尚すぎて1回いくらで出来ますか?とは恥ずかしくて聞けませんでした。その公演の後で何人か紹介させて頂きました。聖マリアンナ医科大学からも名古屋の中継病院として患者さんを見てくれませんか?と嬉しいお誘いがあったのですが、なんせ私の苦手な患者さんが相手になる訳で丁寧にお断りしました。
今回はこれで終了です。”*私もこれ以上は特許の関係でお話し出来ないんです。”と言ってみたいです。*東海ART研究会(第一回の最初の公演で私の体外受精の方法を講演させて頂きました)FSH以外にもAMHや卵巣全体の萎縮でPOFを予想する事が出来ますが、やたらAMHを自費診療にしてAMHが低いからすぐ体外受精をやりましょう!と言う施設は何故AMHの保険診療は体外受精の周期のみ(年1−2回OHSSの予測のため)だけ。抗精子抗体検査も有効性は実証されていても保険診療になっていないか検討される事を望んでいます。今日は土曜日の診療後、一泊夫婦で日間賀島フグ旅行に行ってきました。朝もお腹いっぱい楽しんで帰宅してまだ午後1時 パノラマカー+高速フェリー+日間賀観光ホテル良かったです。次回は私の理念、生まれた赤ちゃん(5000人以上)は私が授けた訳では無いをお話ししようと思います。p.s.今日も成田先生のライン多いです。