ホームページを見ると(11)の投稿が無くなっていました。12月10日に投稿してますが、トップページからは見れません。もっと読むの所には出てますね。良く分かりませんが、早急に対策してもらいます。
今回は赤ちゃんは私が授けた訳ではない。と言う話をしたいのですが、まずは私が自宅を改装して体外受精を始まるまでの道のりをしたいと思います。これがまた話が長くなってしまいますが、難しい話は有りません。思い出して投稿するのは簡単なんですが、こと歴史が苦手でしかも覚えてもすぐ忘れてします。調べながらも何回かに分けて投稿します。
体外受精の世界初の出産例は1978年7月25日イギリスの二人の*学者により成功に至りました。科学者ロバート・G・エドワーズ氏と産婦人科医パトリック・ステプトー氏が連携してかなり苦労して初めの成功を迎えました。後にノーベル賞を受賞されました。当時は体外受精とは言わず試験管ベビーと言われておりました。これは医学用語として生体内を(インビボ)、生体外をインビトロ(試験管内)と言います。試験管は卵子を扱う上では一度も使用はしませんが、生体外受精と言うべき言葉が試験管になっただけで卵子を取り扱う上では試験管は一度も使いません。(精子の洗浄には使います。)
私が医者になったのは1984年で産婦人科専門医になったのが1986年なので当時はホットなニュースでした。日本初は1983年東北大学病院 名古屋は可世木病院を皮切りに徐々に成功例が増えていきました。名古屋大学分院産婦人科もトップの成田先生がご尽力され、オーストラリアから体外受精の勉強で留学、帰国された*大沢先生を中心に体外受精の初妊娠例からコンスタントな妊娠を得る時期に入っていました。大沢先生によると最初の妊娠例は50例目だったそうです。その後ある大きな*発見がありコンスタントな妊娠が可能になりました。エドワーズ博士らも成功までかなりご苦労されたそうです。更に経腟超音波の普及、薬剤の発達、培養器の高度化で私が分院に入局した頃には今とあまり変わらない方法で高い妊娠率を得られておりました。当時新鮮胚移植卵一個で20% 二個で25% 三個で30%の方が妊娠率され、三個移植では20%が双胎妊娠 5%が品胎妊娠と言う妊娠率でこれだけで言うと今と殆ど変わっていません。(平均年齢が大きく異なる為、それなりに進歩はしています。)品胎妊娠(みつごちゃん)は早産と未熟児分娩がほぼ必発しますので当時から*問題になっていました。まだ話の序盤にもなっていませんが、今日はここで終わりにさせて頂きます。
*科学者ロバート・G・エドワーズ氏か産婦人科医パトリック・ステプトー氏 大変お恥ずかしい話ですが、どちらかの先生を当時院長の成田先生が成田病院にお招きして小さな公演をして頂きました。当然英語で話されるので分かった様な分からない様なポアっとしていたら”折角だから稲垣君何か聞きなさい”と成田先生からフラれてきました。モゴモゴしていると成田先生がこの子”クロミッドだけでで体外受精してるんだわ”と話され”妊娠率はどれくらい”と聞かれて”23%くらいす。”と言ったら”アメージングだ”と言われた様に思います。
*大沢政巳先生 少し前まで成田病院の院長をされておりましたが、激務のため現在顧問をされております。大変優しく穏やかな先生で居ながら大変優秀な先生です。
*初期の段階では成熟卵の獲得に大変苦労されたそうです。自然の排卵はLHサージの16時間後に排卵するのですが、排卵誘発剤を使ってLHサージを待っていると16時間後では卵子は過熟卵になりがちです、排卵誘発剤を使ってLHサージが始まる前にhCGや点鼻薬(GnRHa)の様な強いLH作用の薬を使うと34-42時間後くらいに成熟卵が排卵することが分かりました。排卵誘発剤を使って多くの卵子を獲得した方がメリットは多いのですが、これが分からずイギリスの博士らは注射の刺激→クロミッド→自然周期と刺激法を弱くして排卵が近づくと入院させ4-6時間おきに尿検査をしてサージを確認後腹腔鏡で採卵し始めての体外受精成功に至ったそうです。昔は経腟超音波が無かったので採卵一つも大変でした。私の方法=飲み薬と点鼻薬でチョロっと採卵は最初の成功例からすると信じがたいくらい”安い 早い 上手い”方法だと思います。後にこれについてもお話しできればと思います。
*恥ずかしならが胚盤胞凍結を始める頃(2010年)まで当院も3個移植を138例に行い妊娠率は49.3%でしたが、5人が品胎妊娠でした。多胎妊娠は初期に兄弟の心拍が止まることが多く少なくとも一人は皆様出産されましたが、手元の資料ですと2名の方は品胎出産でNICUの小児科の先生にご迷惑をかけていると思います。ただ手元にある資料では最高3個まで移植していた期間2003年6月から2010年6月まで平均移植数は1.36個で妊娠率31.1%(1099/3534)多胎妊娠率8.9%で立派な数値でした。但し平均年齢は34.8歳とかなり若い人が多かったですね。胚移植は最大で3個までと決められる2008年少し遅いですが、2個までと決められる2021年より早くから3個以上の移植は行なっていません。