但し、地方会発表できるくらいの経験をしました。まず携帯電話をいじっていた時に突然の緊急速報で心臓が止まりそうなくらいびっくりしました。65歳になりますが、体感での震度は経験上最強レベル=35年程前に経験した震度5弱以上と思いました。(実際は震度4だったらしいです)昔は5には弱も強もありませんでした。
緊急速報は有り難かったのですが、キュンキュンなるだけで続報はなく、震源地とマグニチュードを知りたいと思いました。大まかでも良いので音声で知られて欲しいです。震源地が遠方であれば時間に少しの余裕がある為、自宅の最上階に上がり予め想定した自宅の中で1番安全な場所に移動する事になりますが、近ければ直ぐに机の下に隠れる事になります。携帯で確認する時間はありません。出来れば改善を希望する所です。
大切な情報は直下型かプレート型+マグニチュードです。マグニチュードは地震のエネルギーを示しは世界でも最強レベルで9台でした。震源地より遠くて深ければ弱く、近くて浅ければ強いと言うことになります。震度以上に数値に差が強く現れます。震度はその場所でどれくらい揺れたかの指標で0-7まであり震度7以上の震度は想定されていません。これは後出しでも結構です。
皆様に事前に知って貰いたいのは自宅で1番安全な場所と自宅の耐震設計です。震度5弱は何かにつかまりたくなる揺れで5強は自販機が倒れるくらいの揺れです。幸い名古屋と京都は歴史的に安全な場所と考えられ皇族や殿様が住居としておりました。戦後、耐震設計が数回更新され、ご自宅の着工年度で耐震設計が大きく違うので確認されると良いと思います。2000年5月以降に着工された物件であれば震度5強くらいでは何ともなく震度6以上でも崩壊しない設計のはずです。
テレビを見ると情報過多になり表現も大袈裟に感じます。やれる事をやったらジタバタしない方が安全になります。同じ震度7でも能登半島直下型とプレート型遠海の震度7では大きく違い深刻ではあるのですが、イソップ物語のオオカミが出たぞになっては絶対に行けません。
私はテレビで頻繁にキュンキュン鳴らす地震警報で名古屋に住まわれて高台に避難し運悪く怪我をした人がいない事を案じておりました。その後、皆様がご心配されている凍結卵子の安全確認のため地震から約1時間後にクリニックに行きました。クリーンルームや凍結卵容器はすでに耐震補強はしているのでさほど心配はしていなかったのですが、重大な教訓を得ました。実際問題地震直後に何をするべきかの順序を明確にしておらず全て同じ重要度な事柄として考えていたのです。
実際クリニックの入口から順に転倒しているものが無いかを見ながら凍結容器までを確認。そしてクリーンルームに入ろうとしたところ3枚の扉の内一つの扉の鍵の場所が分かりませんでした。オフィスビルなので入るのにはビルの開門、警報器の解除、クリニックの開門が必要です。更にクリニックに入ってからも2つの扉の鍵を開けクリーンルームにやっと入れるのですが、最後の1個のつもりでいた鍵が違っていました。培養師に連絡しながら、ふと思ったのがミイラ取りがミイラになると言うコトワザでした。なんの気なく窒素ガスルームの点検後、炭酸ガスルームの扉を開けました。気のせいかも知れませんが、息苦しさを感じました。1番危険なのは、炭酸ガス漏れですね。他のクリニックでも培養器の必需品”炭酸ガスボンベ”からのガス漏れに注意してください。配管も複雑である事が多いです。後から考えれば対策にはお金は掛かりません。コロナ対策で購入した、炭酸ガス測定器(部屋の換気度を調べる機会・濃度のレベルはかなり違いますので調整が必要)を絶えず付けっぱなしにするだけです。クリニックの入り口の高い場所と低い場所に炭酸ガスボンベ収容室の手前で低いところと高い所に設置するだけで良いと思いますが、確認に行った職員に大事が起これば管理者の責任です。ビルごと大事が起こるほどのボンベではないのですが、長期に密閉された部屋では少しの炭酸ガス漏れも大変な事態を起こす可能性があります。
教訓としたい手順は以下になりました。もちろん凍結卵は大事ですが、職員の命が方が大事です。災害直後に培養室の安全確認に行く際は(1)部屋が密閉されている場合はまず炭酸ガス漏れが無いかを設置した炭酸ガス濃度計を確認(培養器を長期間使用しない場合は出来ればボンベから最初の栓を閉じておくのが1番安全、使い始めは開けるのを忘れていても培養器がピーピー鳴るので絶対分かります。)(2)電気つけっぱなしの電気器具、例えば空気清浄機が転倒していないか確認(密閉空間で空気清浄機のつけっぱなしは危険です。(3)凍結容器が転倒していないか確認(4)無停電装置は作動しているか確認(5)クリーンルーム内、特に培養器内の受精卵があればまずそれから確認し対策それで終了。 当院では無停電装置の上にある電球が切れかけていました。結果は冒頭の挨拶通り異常なしでした。但し、凍結補完容器から卵を取り出して見た訳ではありません。
他施設で体外受精を行っている方が見ておられれば参考にして下さい。