今回は脳下垂体ホルモン 卵胞刺激ホルモン(以下FSH)と黄体化ホルモン(以下LH)の説明をさせて頂きます。FSHは、いかにも卵胞を刺激し黄体化ホルモンは卵胞を*黄色くさせる様な名前ですが、片方だけのホルモンでは卵胞は全く育ちませんし排卵も起こりません!必ず二つのホルモンの協力により卵胞は排卵に至ります。脳下垂体は脳から下にぶら下がった様場所にあり他にも多種のホルモンを分泌するホルモン製造工場です。通常月経中であればFSHは4〜15、LHは2〜7ミリ国際単位/ミリリットルが正常値になります。(この国際単位については話が長くなるので無視しましょう。)但し量が多いのでクリニック内でも簡単に計測できます。
二つのホルモンは、妊娠中以外では絶えず脳から一定程度の分泌がありFSHは月経直前にやや上昇し卵胞を育てると言うより10個程度の卵胞を選抜刺激、その後はやや下降気味ながら一定量下降気味に分泌され排卵前後に上昇します。これに対してLHはFSHにより選ばらた卵胞を±2程度の波動状の刺激(LHパルス60-90/分)をやや上昇的に分泌させ更に排卵直前に大量分泌(100くらい)されにより排卵を促進します。以前の説明と被るところが多いとは思います。自然の周期では選抜された10個程度の卵胞から1個の卵胞が更に選抜され排卵し残りの卵胞は淘汰されます。*hMG製剤(一般的な比率FSH:LH=2.8:1 150単位)の刺激では最初に選抜された10個程度の卵胞の殆どが発育し1日1回打つhMG刺激で多くの卵胞が育ちます。クロミッド刺激では内服初期にかなり多量のLHが分泌されその後もLH優位の刺激が続き3個前後の卵胞が育つ事が多いです。LHの存在なしでは卵胞は育たない為、高度な視床下部性排卵障害では純粋なFSH製剤を大量に投与しても卵胞は育ちません。逆にLHが高い多嚢胞性卵巣の方はhMG製剤では刺激が過剰になり卵胞が50個くらい育ち大変な事態に及ぶ事もあります。
簡単に説明するとFSHは月経直前に少し増えその後はLHサージの時に副次的に増加するだけで、基本はLHの細かい波がピュンピュン(LHパルス)と出て卵胞を育て育った卵胞から出る卵胞ホルモン(E2)が十分になるとLHがドバット大量に出て排卵を促進(LHサージ)し排卵後も刺激は少量ながら続き黄体ホルモンの分泌を促進させます。
*黄体は黄色で黄体ホルモン(プロジェステロン)=P4が出ます。
*hMG 日本語に訳すと閉経婦人の脳下垂体ホルモンになります。通常月経中であればFSH=4-15、LH=2-7ミなんですが、閉経後ではFSHは50〜150 LHは20〜50に上昇する為、閉経後の女性の尿から効率的に抽出する事出来ます。発売当初はヨーロッパの修道院から尿の提供を受けていたそうですが、その後は需要が追いつかず中国から輸入、今はそれも難しく入手が難しい注射剤になりました。
次回は女性ホルモン=卵胞ホルモンと黄体ホルモンです。E2とP4